寺井町の内科・消化器内科・内視鏡内科・肝臓内科クリニック

血圧が高いと言われた方へ

 

 日本では高血圧の患者さんは国の調査では1,000万人とされています。実際の患者さんは4,300万人いると推定されています。約3人に1人が高血圧ということになりますね。すぐには症状がでませんが数年から10数年の経過で心筋拘束や脳梗塞といった重篤な疾患につながります。

 

 しかし自覚症状に乏しい病気ですので、健診で指摘されても『いつか受診しよう』と放置したままとなることも多いですね。今回は血圧が高いときの疑問にお答えします。

目次

➤血圧が高いと言われた方
    ►血圧とは
    ►血圧が高くてなにか?
    ►どこからが高血圧?
    ►いつから治療を始めれば?
    ►いつ血圧測れば?
    ►実際の治療は?
➤実際の診療の流れ
    ►診察の流れは?

 

高血圧と言われた方へ

血圧とは?

 人間のからだは心臓から血液をもらって栄養や酸素を補充します。心臓から全身の血管へ血液を押し届けるわけですが、この血液の圧力が『血圧』となります。

 

(日本高血圧学会, 高血圧治療ガイドライン2019)

 

 上記の図のイメージになるわけですが…やはりわかりにくいですね。

 

 自分を心臓にみたて、風船を血管とみたてて、風船を膨らませるときの息の強さが血圧だと思っていただければです。

 

 風船が硬いものである場合や、風船を大きく膨らませなければいけない場合などは相当強い力で息を吹き込む必要があります。

 

 風船が硬い場合は動脈硬化で血管が硬い人の場合ですね。風船を大きく膨らませる必要があるので血液の量が多い場合です。血液の量は摂取した塩分の量に比例しますので日々塩分を多く摂取している人は血圧が高くなるというわけです。

 

 

血圧が高くてなにか?

 血圧が高くても症状が出ない人も多いですね。実際には血管を拡げる圧が強いため、心臓にも血管にも負担がかかっていきます。

 

 血管が風船とみたてると、血圧が高くなれば風船を膨らませすぎることになり、風船が破裂します。人の体の中では、徐々に血圧が上がっていくため風船を徐々に大きく膨らませるイメージになりますね。

 

 人の血管は徐々に上がっていく血圧に対して変化していきます。簡単には破れないように、徐々に硬く狭くなっていきます。長期間こういった状態が続いた結果、脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞といった重篤な疾患につながります。

 

 脳梗塞では寝たきりになることもありますし、心筋梗塞では運動や仕事ができなくなること多いですね。いずれも命に関わることも多い病気です。

 

どこからが高血圧?

 血圧を下げるお薬などは飲み始めると一生中止できないようなイメージがありますね。減量や運動習慣をしっかり実行できればお薬を中止できることがありますが、実際には生活習慣を大きく変えることは難しいですね。

 

 

 高血圧の診断は、下記の図のように診察室での血圧や家庭での血圧などで数値は異なりますが、おおむね140/90を超えてくると高血圧と診断されます。

(日本高血圧学会, 高血圧治療ガイドライン2019)

 

 

いつから治療を始めれば?

 高血圧と診断されても、脳卒中や心臓病などを起こしやすい人もいれば、さほどリスクの高くない人もいますね。

 

 
(日本高血圧学会, 高血圧治療ガイドライン2019)

 

 高齢である、コレステロールが高い、喫煙、糖尿病や腎臓病といった疾患をお持ちの方は合併症が起こりやすいことが分かっているため、お薬での治療が開始されやすいです。逆にこういったリスクのない人ではまずは減塩や生活習慣を見直すことから始めます。

 

 

 もちろん、こういった治療の適応は感覚で行うのではなく、データに基づいてリスクを判断し治療の内容を決定します。この目安が下記の表になります。診察の傍らで何気なく質問していき、リスクを評価し、そのリスクに合わせた治療を決定します。

 

 

いつ血圧測れば?

 家庭で血圧を測定し、ノートに記録していただけると治療に非常に役立ちます。血圧の測定は朝、夜の1日2回、朝は朝食後、夕は就寝前の測定をおすすめします。
いままで測定する習慣のなかった方には1日1回でも構いませんので、まずは測定することから始めましょう。

 

 

実際の治療は?

 高血圧の治療というとお薬を飲んでいく・・・といったイメージが強いですね。治療の大事な一つではありますが、薬以外にも運動や食事といった生活習慣の見直しが必要ですね。
 

 

なによりも塩分!

 日本人はもともと塩分摂取量の多い人種ですね。まずは自分の塩分摂取量を下記の図から確認してみてくださいね。

 

 

減塩のポイント

 塩分の入っていない香辛料(ゆず、胡椒、七味)などを利用したり、調味料を減塩に変える。野菜を多くとる、麺類の汁を残すなどよく言われますね。

 

 
(日本高血圧学会減塩委員会 減塩のコツと塩分の多い食品・料理)

 

 慣れるまでは大変ですので、野菜を多く、麺類の汁を残す、味気ない時には塩分の入っていない香辛料でごまかして食べるを推奨しています。

 

運動療法

 高血圧で治療中の患者さんはあまり血圧が高くなりすぎるような運動はおすすめしにくいです。
少し息切れする程度の運動を、1日30分、週180分程度行っていければ良いですね。

 

 運動の習慣がなくハードルが高く感じる方は、階段を使う、掃除や片付けを毎日するなど簡単な運動から始めてみると良いですね。

 

 

薬物療法

 高血圧の治療の基本は生活習慣の見直しですが、血圧が下がらなければお薬を処方します。糖尿病や脂質異常症などほかの病気を持っている人にもお薬を処方することが多くなりますね。

 

 血圧は、生涯にわたって管理していくことが大切です。お薬の飲み忘れがないように注意していくと良いですね。
 実際の治療薬には下記のような種類があります。

カルシウム拮抗薬 血管を広げて血圧を下げます
ARB、ACR阻害剤 血管を収縮させる物質をブロックして血圧を下げます
利尿薬 血管から食塩と水分を抜いて血圧を下げます
β遮断薬 心臓の過剰な働きを抑えて血圧を下げます

 

 

 お薬を飲んでいく上での注意点を下記にしますますね。
 

 

 

実際の診療の流れは?

 簡単な問診、診察を行い、場合によっては採血や尿検査を行います。以前の健康診断の結果などを持参いただけると情報が増えてなお良いですね。

 

 

 高血圧の原因となるホルモンの病気などは採血などでないと確認できないものがあるためですね。治療中の方でも定期的に採血や頸動脈エコー、眼科受診などで高血圧で血管や腎臓に障害がでていないかを確認していきます。

 

 

電話でのお問い合わせは
TEL 0761-57-0097
午前9:00~12:00 午後14:00~18:00

 

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