大腸の病気は無症状でも大きなものが潜んでいることがあります。。
4月から当クリニックで胃カメラ・大腸カメラが始まり3か月が過ぎました。
日頃から症状がなくとも定期的な検査をお勧めしていますが…。
健診での便潜血の検査でひっかかった割と若い患者様の話です。特に自覚症状はなく見た目も健康そのものです。私は痔出血かしらといった感じで検査を進めました。
大腸内視鏡の写真は通常は↓のようにトンネル状の臓器が写るわけです。
しかしながら内腔にどんと居座るように太い茎をもつ22㎜大の赤みの強いポリープを認めます。
経験的にはぱっと見た目で若年性ポリープであろうとは予想がつきますが念のためカメラについた表面を拡大する機能とNBI特殊光(癌かどうか判断しやすくなる特殊な光)を使用して癌でないことを確認します。
癌でなくとも2cm以上のポリープですので出血のリスクも高く切除に移ります。赤みの強い血流豊富なポリープでしたのでまずはポリープの根元にクリップと呼ばれるホッチキス様の道具で根元から血流を遮断します。
紫色へ変色し血流が落ちたのを確認し切除します。
こちらは切除後の短くなった茎部です。銀色のものはクリップです。根元を締め上げて出血を阻止しています。切除後も出血を認めたため断端を焼灼しさらにクリップを追加し終了しました。
顕微鏡で細胞レベルの検査を行い病理結果は若年性ポリープ、いわゆる良性のポリープでした。
無症状でもこんなに大きな病気が潜んでいることもあると再認識させられた事例でした。自戒の念をこめて提示しました。
私は割と大きな病院を回って先進的な内視鏡検査・治療に携わる機会を多く得ることができました。その際に患者さんによく言われたのが、『クリニックでも同じような検査や治療が受けることができるところがあればいいのに』といった声でした。
例えば大腸カメラをクリニックで受けてポリープがあると地域の中核病院へ紹介されます。再度大腸カメラを受けてポリープを切除する…。一見普通ですが、大腸カメラは準備にも時間や肉体的負担が多く、大腸カメラを2度受けるということは結構に大変です。医療費も患者負担も2回分かかります。ある程度の大きさまでのポリープはクリニックで切除できればよいわけです。
背伸びをしてリスクの高い治療をすることは関わる人全てを不幸にしますので、 無理しない範囲でクリニックでできる治療を継続していきます。リスクの高い病変や入院が必要なときには躊躇せず基幹病院へ紹介していきます。
まずは毎年の大腸がん検診(便を2回提出する検査ですね)を受けていくようにこころがけましょう。
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