寺井町の内科・消化器内科・内視鏡内科・肝臓内科クリニック

当院の大腸内視鏡検査の工夫

最近大腸カメラが増えてきました。ホームページを見て来院してくださる方もいてうれしい限りです。教科書的な大腸カメラに関する説明などは別ページにあります。ここでは検査のときによくいただく質問に対して当院の工夫を説明していきます。

 

目次

➤苦痛の少ない楽な大腸カメラのために
    ►下剤が飲みにくい?
    ►検査が痛いのでは?
    ►検査後お腹が張ってつらいのでは?
    ►雰囲気は?
➤見逃しの少ない質の高い大腸カメラのために
    ►カメラの質
    ►拡大内視鏡
    ►NBI
    ►先端フード

 

下剤が飲みにくい?

 

 大腸カメラは肛門からカメラを入れて検査をします。大腸の中には便がありますので検査前に下剤できれいにする必要があります。一般的な下剤は検査当日に2Lの下剤を飲んで午前中に便を出し切り、午後に検査を行います。

 

 この2Lの下剤は「スポーツドリンクと海水の中間の味」と評され、飲みやすいものではありません。当院では前回大腸カメラのときに「量が多くて下剤を飲み切れなかった」「味がまずくて吐いてしまった」といった患者さんにも対応できるようにしています。

 

 ①下剤の量が多すぎて飲み切れない人 ➡ 2日に分けて下剤を飲むことで1回の飲む量を減らします。(前日夕と当日午前の2回です)

 

 ②味がまずくて吐いてしまった ➡ 非常に飲みやすい下剤があります。この下剤を1回150ml 2回飲みその後に好きな飲み物を2L程度飲みます。

 

 ※平日は忙しくて土日しか時間のない方には土曜の午前中に大腸カメラを行うことで対応しています。お気軽にお問合せください。

 

下剤自体も飲みやすく量が少ないですし、その後に飲む飲料も好きな飲み物で良いため非常に抵抗が少ないですね。暖かいお茶やスープでもよいわけです。

 

 

 

検査が痛いのでは?

 

 大腸粘膜には痛みの神経がありません。カメラがこすれる程度では痛みにはなりません。しかし下図のように、押し込むようにカメラ入れる場合には腸を突っ張る形になり、腸を引っぱったりするため痛みが強くなります。またカメラによる腸管穿孔(腸管が裂けてしまうこと)が起こりやすくなります。

 

 

 当院では下図のように矢印方向にカメラを振ることで、腸管をカメラで折りたたむようにします。なるべく腸を突っ張らせないように軸を保持する軸保持短縮法によって検査を行っています。腸の変形が少ないため痛みの少ない検査になります。

 

 また初回の検査で不安が強い場合、婦人科手術や腹部手術歴のある方では内視鏡技術にかかわらず疼痛や苦痛が出やすいです。こういう場合には鎮静剤ですね。当院では緊張をほぐし眠くする鎮静剤、痛みを和らげる鎮痛剤を使い分けてます。
 

カメラの入れ方での工夫、鎮静剤や鎮痛剤といった緊張や苦痛を和らげる注射を使用することで多くの方で苦痛の少ない検査を提供できますね。

 

検査後お腹が張ってつらいのでは?

 

 大腸内は普段しぼんだ風船のようになっています。検査中にはヒダとヒダの間までしっかり観察するために空気を注入します。この空気は検査後に抜くことができません。便がつまった便秘ではありませんが空気が詰まった便秘の状態となるためお腹の張りや吐き気などを訴える方がいるわけです。

 

 当院では通常の空気ではなく炭酸ガスを使用しています。炭酸ガスは体内で空気の100倍以上吸収が早いとされます。空気で検査をすると半日お腹が張るとすれば、炭酸ガスを使用して検査をすると数十分でお腹の張りがとれます。

 

 この炭酸ガスを検査に使用するようになってから検査後のお腹の張りは劇的に減少しました。当院では胃カメラの際にも可能な範囲で使用しています。

 検査後のお腹のなかのガスがこれくらい差のある印象です。
 

お腹に溜まりにくいガスを使用することで検査後のお腹の張りがずいぶん軽減されますね。

 

雰囲気は?

 手前みそですが・・・、抜群に良い雰囲気だと自負しています。私はまだ新参者ですが、ついてくれる看護師さん含めスタッフの方の空気が柔らかいからだと思っています。

 

 ご希望の方には眠り薬を使用しています。この麻酔が効きやすいです。今まで勤務したことのある病院とおなじ薬、おなじ量を使用していますが、効きやすいのです。すやすや眠っている間に検査が行えることが多くなっていますね。よりリラックスした状態で検査を受けていただけているからだと考えています。

 

 また、検査後はお腹からガスが抜けるまでのあいだや鎮静剤など使用した場合にはゆっくり休むリカバリールームがあります。

 

 

検査中、検査後にリラックスできる空間があると検査も少しは楽なものになります。

カメラの質は?

 
ハイビジョンスコープ

 当院ではオリンパス社製の最新のハイビジョンスコープを使用し、従来の内視鏡では発見が難しい小さな病変やわずかな変化も見逃さないように検査にあたります。

 


 オリンパス社からの引用です テレビでいうところのアナログとデジタルほどの差があり、ハイビジョンはすごくキレイです。

拡大内視鏡

 ひと昔前までは大腸カメラでポリープを発見した際には赤みが強いとか形がいびつといった大まかな見た目でがんか否かを判断していました。最近のカメラには拡大機能といってポリープの表面を顕微鏡で観察するような機能がついています。

 ふたたびオリンパス社からの引用です。表面を拡大することでポリープの表面の構造が詳細に見えるようになります。この表面のパターンで8-9割は切除が必要なポリープかどうかの判断が可能になります。

 

NBI(=Narrow Band Imaging)

 胃や大腸の”がん”はカメラで見える表面側から変化が起こります。この変化は表面の模様であったり、表面の血管であったりが”がん”特有のものとなります。この表面模様や血管を見やすくする技術がNBIです。

 

 光の波長を制御することで表面の模様や血管を強調して映し出します。上述の拡大機能と併用することで小さな病変でも発見・診断することが可能となりました。

 


 4mm大のポリープがあります。


 近づいて顕微鏡機能で表面を観察しますが、表面の模様ははっきりしません。


 ボタン1つでNBI画像が得られ表面の模様が簡単に観察できるようになりました。

 

 これは”腺腫“と呼ばれる腫瘍です。ですが良性の腫瘍ですので大きいものを切除の対象としています。この方は他に切除するポリープがあったためこのポリープもついでに切除しました。

 

 このNBI機能があるおかげでポリープの性質をすみやかに診断し切除の必要があるかどうか判断できます。

 

先端フード

 大腸という臓器は内腔にヒダが多く存在します。カメラで観察すると長いトンネルにふすまがたくさんあるように見えます。このヒダは中途半端に開いたふすまのようなっています。内視鏡は前方はよく見えますが真横などは死角となるため、このふすまの裏にあるポリープは見逃されがちです。

 

 先端フードは図のようにカメラの先端に装着します。帽子の”つば”のようにヒダをめくるように観察が可能になります。

 

 

装着すると…

写真のようになります。

 

ヒダ裏のポリープを見逃しがちですが…

先端フードがあれば見逃しません。

 

 ながながと当院の大腸カメラの工夫を話しました。熱意が空回りした感もありますが(笑)、そこはご愛嬌ということでお願いします。

 

 

各種工夫をこらし、総合病院とそん色ない専門性の高い大腸カメラをお受けいただけます。

 

 

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