寺井町の内科・消化器内科・内視鏡内科・肝臓内科クリニック

当院の胃内視鏡検査の工夫

 最近胃カメラが増えてきました。『〇〇さんから楽だったと聞いて受けにきた』と言っていただけることもあり、これが一番うれしい言葉かもしれません。

 

 当院では胃カメラを行うにあたっていくつか工夫しています。これは受ける側が楽に受けることができる胃カメラというものは、カメラを行う側も楽にでき、結果病気の発見率があがるというデータに基づくものです。win-winの関係となるような胃カメラを追求していきます。

 

目次

➤苦痛の少ない楽な胃カメラのために
    ►カメラが太いのでは?
    ►検査が痛いのでは?
    ►検査後お腹が張ってつらいのでは?
    ►雰囲気は?
➤見逃しの少ない質の高い胃カメラのために
    ►カメラの質
    ►NBI

 

カメラが太いのでは?

 携帯電話などのカメラ機能同様、胃カメラも経年的に進化しています。昔のカメラと比べるとより細く、より良い画質になっています。ハイビジョン画質のカメラの中で最も細い8.9mm、高画質な経鼻用の5.4mmを用意しています。

 

 腹部症状のある患者さんやピロリ菌除菌後の患者さんでは生検などの処置の可能性があるので口からのカメラで、カメラが苦手な方やがん検診などの場合には鼻からの細いカメラで、といった形で使い分けています。

 

 

検査が痛いのでは?

 胃カメラの辛さの最大の原因は舌の奥にカメラがこすれた際に『おえっとなる』反射が起こることです。経口のカメラの際には下図の赤い部分にカメラがこすれないように注意して入れていきますが、舌でカメラを動かしてしまうと『おえっとなる』こともしばしばです。

 

 胃カメラが辛い原因はいくつか解明されています。上述の①カメラが舌の奥にこすれること②カメラから空気が入ってお腹が張る辛さなどです。
 

 

経鼻内視鏡

 上述の舌の奥にカメラがこすれない工夫の一つです。鼻からカメラを入れた場合には問題の部位にカメラがこすれません。『おえっとなる』反射が起きにくいのが特徴です。慣れている方は会話しながらの検査が可能です。

 

 しかしながらデメリットも若干存在し、口からのカメラに比べるとわずかですが画質が劣る、鼻血がでることがある、鼻の奥が狭いと通らない、などがあります。

 

経鼻内視鏡を入れる前に左写真のような細いチューブを麻酔に浸して鼻に入れていきます。6mmの太い方が簡単に入るようであれば経鼻内視鏡も入ります。

 

マウスピースの工夫

 口からカメラを入れる際のカメラの入り口となる器具です。この工夫でカメラの通り道を誘導することができます。

 

①従来型

従来のものです。これを口にくわえてもらい、カメラを入れていきます。使い勝手も良いですが苦手な人の反射をしっかりと抑えるような作りというわけでもありません。

 

②Gagless

 苦手な人用に最近開発された最新のマウスピースです。ボクシングのマウスピースのように奥歯までしっかりと嚙合わせるタイプです。

 

 下図のようにのどの奥が拡がりカメラが通りやすくないます。まだ数例ですが反応はまずまずといったところです。
 詳しくはこちらです。

内視鏡検査「オエッ」軽減 新器具開発のニュースです


出典:朝日新聞 DIGITAL

 

 ③エンドリーダー

 これもわりと新しいマウスピースです。付属部分の圧子が舌を抑えてくれるため舌の置き場ができ、舌を動かしてしまう方には有効です。

 

 こちらも数例ですが若い方は舌が動きやすいためか若い方に合っている印象です。前より楽だったという反応が多いです。

 

 

 

 

 

 本来鼻から入れる細いカメラを口から入れる用のマウスピースです。
 より反射の起こりにくい角度へカメラを誘うように工夫されています。

エンドリーダーはニュースでの取材動画があります→こちら

 

 以前の胃カメラの経験などをお聞きして上述のマウスピースを使い分けていきます。

 

眠った状態で受けるカメラ

 初回の検査で不安が強い場合、以前の胃カメラでつらい思いをした方は内視鏡技術にかかわらず疼痛や苦痛が出やすいです。こういう場合には鎮静剤ですね。当院では緊張をほぐし眠くする鎮静剤、痛みを和らげる鎮痛剤を使い分けてます。
 

カメラの太さやマウスピースの選択、鎮静剤や鎮痛剤といった緊張や苦痛を和らげる注射を使用することで多くの方で苦痛の少ない検査を提供できますね。

 

検査後お腹が張ってつらいのでは?

 

 胃袋は普段しぼんだ風船のようになっています。検査中にはヒダとヒダの間までしっかり観察するために空気を注入します。この空気は検査後に抜くことができません。炭酸飲料を飲み過ぎた後のようにげっぷがでそうででない状態となるためお腹の張りや吐き気などを訴える方がいるわけです。

 

 当院では通常の空気ではなく炭酸ガスを使用しています。炭酸ガスは体内で空気の100倍以上吸収が早いとされます。空気で検査をすると半日お腹が張るとすれば、炭酸ガスを使用して検査をすると数十分でお腹の張りがとれます。

 

 この炭酸ガスを検査に使用するようになってから検査後のお腹の張りは劇的に減少しました。

 検査後のお腹のなかのガスがこれくらい差のある印象です。
 

お腹に溜まりにくいガスを使用することで検査後のお腹の張りがずいぶん軽減されますね。

 

雰囲気は?

 手前みそですが・・・、抜群に良い雰囲気だと自負しています。私はまだ新参者ですが、ついてくれる看護師さん含めスタッフの方の空気が柔らかいからだと思っています。

 

 ご希望の方には眠り薬を使用しています。この麻酔が効きやすいです。今まで勤務したことのある病院とおなじ薬、おなじ量を使用していますが、効きやすいのです。すやすや眠っている間に検査が行えることが多くなっていますね。よりリラックスした状態で検査を受けていただけているからだと考えています。

 

 また、検査後はお腹からガスが抜けるまでのあいだや鎮静剤など使用した場合にはゆっくり休むリカバリールームがあります。

 

 

検査中、検査後にリラックスできる空間があると検査も少しは楽なものになります。

カメラの質は?

 
ハイビジョンスコープ

 当院ではオリンパス社製の最新のハイビジョンスコープを使用し、従来の内視鏡では発見が難しい小さな病変やわずかな変化も見逃さないように検査にあたります。

 


 オリンパス社からの引用です テレビでいうところのアナログとデジタルほどの差があり、ハイビジョンはすごくキレイです。

NBI(=Narrow Band Imaging)

 胃や大腸の”がん”はカメラで見える表面側から変化が起こります。この変化は表面の模様であったり、表面の血管であったりが”がん”特有のものとなります。この表面模様や血管を見やすくする技術がNBIです。

 

 光の波長を制御することで表面の模様や血管を強調して映し出します。特に食道では小さな病変でも発見・診断することが可能となりました。

通常光

通常の画像では早期食道癌の存在はわかりづらい病変です

NBI強調画像

矢印の部分が褐色調となり容易に病変を把握できます

出典:日本消化器内視鏡学会<TOP<市民のみなさま<消化器内視鏡Q&A<画像強調内視鏡って何ですか?

 

 

 ながながと当院の胃カメラの工夫を話しました。
 ①通常の口からカメラ
 ②鼻からカメラ
 ③鎮静剤を使用し眠って口からカメラ
 ④鎮静剤を使用し眠って鼻からカメラ(あるいは口から鼻用の細いカメラ)

 

 苦手具合の程度に合わせて①→④の順で選択していけば検査をうけることができないといった方はそうそういません。
 

各種工夫をこらし、総合病院とそん色ない専門性の高い胃カメラをお受けいただけます。

 

 

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