寺井町の内科・消化器内科・内視鏡内科・肝臓内科クリニック

血液でわかる消化器がん検診

 ■金沢大学附属病院の先進医学センターでのプレミアムドックでも行われている血液からがんを発見する検査です。

 

 ■(注)自由診療です。保険はききませんので全額実費での検査となります。

 

 ■患者さんからよく尋ねられることの一つに『血液でがんがわからないのか?』があります。現在の保険診療で該当するのは前立腺がんの腫瘍マーカーくらいです。他のマーカーはよほどがんが進行しない限り検査にはひっかからないことが多いですね。今回ご紹介する検査は代表的な消化器がんの有無を少量の血液で判定する検査です。

 

 ■少量の血液でがんのことがすべてわかるような夢の検査ではありません。もちろん他にそのような検査は今現在ありませんが…。下記をしっかりご覧いただきご判断ください。

 

日本におけるがん

 ■日本では1981年以降『がん』が死因の第1位となりました。いまや2人に1人が『がん』に罹患し、3-4人に1人が『がん』で亡くなる時代となりました。

 

 ■消化器内科医が遭遇する消化器がんの多くは胃、大腸、肝臓、膵臓、胆道がんです。
死亡数が多いがんの上位にも多く存在します。(表1)

 

 

消化器がんマイクロアレイ検査

 マイクロアレイとは血液中の遺伝情報であるRNAを抽出しそのパターンを解析する検査です。がん細胞が体内に存在する人はがん細胞に抵抗するために様々は反応が起こります。この反応がある患者さんのRNAと反応のない(がんのない)患者さんのRNAの違いを利用した検査です。

 

 金沢大学の消化器内科研究室が血液から消化器がんの有無を判定できる遺伝子群を突き止めました。この遺伝子群の変化をマイクロアレイ検査にて判断します。

 

 

検査までの流れ

 電話などで予約をとっていただきます。月・水・金曜日の午後に予約をお取りしております。検査の概要、検査の強みや弱いところ、費用など含めご説明させていただきます。

 

 ご希望されれば後日採血検査を行います。結果が出るまでに約2週間ほどお時間をいただきます。自由診療のため保険診療と同日にはできません。

 

検査の強みと弱み

 海外の有名女優が乳がんにかかっていないのに乳房切除したのをご存知でしょうか?自身が乳がんになりやすい体質ということが分かったので切除したという話でした。最近では遺伝子の検査を行うことで遺伝しやすいがんかどうかの判断ができるようになりました。

 

 

 この検査は遺伝子を利用した検査です。ですが、がんになりやすいかどうかを判断する検査ではありません。『現時点』で体内にがんが存在するかどうかを判断します。すべてのがんではなく胃がん、大腸がん、すい臓がん、胆道がんといった消化器がんの中心をなすがんです。

 

 ですのでマイクロアレイ検査で異常がなかったから今後もがん検診を受けなくても良いと思ってはいけないということです。

 

 

 この4種のがんの有無に関する検査としては感度90%以上、特異度87%とかなり精度の高い検査です。(※1)この検査で陽性となった場合には90%以上の確率で上記のがんが存在することとなります。この検査では同時にサブ解析を行い4種のうちどの臓器のがんの可能性が高いかの結果も添付されます。

 

 (※1)Biochem Biophys Res Commun. Vol.400, Issue1, p7-15(Sep. 2010)から引用

結果とその後

 採血後約2週間で結果がでます。胃がんが疑わしければ胃カメラ、大腸がんが疑わしければ大腸カメラ、胆道がんや膵臓がんが疑われれば採血、エコ―やCTをお勧めしていきます。

 

費用や注意点

 ■費用は相談料  1,000円
     検査料 71,000円

 

 ■注意点 下記薬剤を使用中あるいは使用後まもない方は検査に影響がでますので先にお申し出ください。
        〇副腎皮質ホルモン剤
        〇インターフェロン製剤
        〇免疫グロブリン製剤
        〇生物学的製剤(インフリキシマブ:商品名レミケイド、ヒュミラなど)
        〇ワクチン(接種直後)

 

      下記疾患の既往、治療中の方は検査結果に影響する場合があります。
        〇現在、がんと診断されている。がんの治療を受けている。
        〇がんの治療を受けてあまり年数が経っていない
        〇自己免疫性疾患(潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、
        自己免疫性肝炎、関節リウマチなど)と診断され治療中の方
        〇大腸ポリ―プ、胃ポリープを切除して1~2年未満の方
        〇B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによる肝疾患と診断されている方
        〇肝嚢胞、腎嚢胞、胆のう腺筋症と診断されている方
        〇妊娠、または妊娠している可能性のある方

 

院長の私見

 落ち着いたところで院長自身も受けてみようとかんがえています。

 

 

 こういった検査はメリットとデメリットがはっきりしているので目的がはっきりしている人には合っていると思います。

 

 

 いまがんがあるかどうか心配だから検査を受ける、というの理由は一つです。では他の検査で代替できないか、というとできなくはないですね。例えば胃がんが心配であれば毎年胃カメラを受ければ胃がんで死ぬことはないでしょう。大腸がんが心配なら大腸カメラがあります。

 

 

 胆道がんやすい臓がんはエコーやCTがあれば早期での発見も期待できますが、エコーでは微小がんでの発見は困難でしょうし、CTを頻繁に受けると放射線の被ばくが心配です。

 

 

 企業や団体の中心的存在、家庭の中心にあり数年内にがんで死亡するわけにはいかない方が数年ごとに受けるには非常に適したものではないでしょうか。

 

 

 もちろん現時点で4種の消化器がんが存在しないことが分かるだけですので、その後も定期的ながん検診を継続する必要があります。家庭や組織の大黒柱的な人にとっては毎年胃がん検診、大腸がん健診、肺がん検診、前立腺がん検診を毎年受けながら1-2年毎に腹部エコー検査を受けます。3-5年に1度マイクロアレイ検査、時期をずらして全身PET検査といった検査を適宜組み込んでいくのが現在の最適解ではないかと考えます。

 

 

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